中東欧を足場に欧州を切り崩そうと目論む習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ)

(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)

 日本ではあまり知られていないが、俗に「17+1」と呼ばれる国際会議が存在する。ギリシャに中東欧16カ国を加えた17カ国に中国で構成される、経済協力関係を模索する会合である。正式名称は「中国中東欧国家合作」と呼ばれ、邦語では中国中東欧首脳会議という訳が当てられている。中国の習近平国家主席が「一帯一路」構想を公表する直前の2011年から年に一回、総会が実施されてきた。

 中国が中東欧諸国との経済協力関係を重視している最大の理由は、中国が中東欧諸国を欧州連合(EU)への影響力を拡張するうえでの「足場」として重要視していることがある。中東欧諸国を固めてから本丸である西欧諸国に進出したいというわけだ。実際に中国は中東欧諸国のいくつかの開発プロジェクトに投融資を行ったが、実態としては中国の思惑通りにことは進んでいない。

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