FC2ブログ
202105/08

【一聞百見】火箸風鈴の音色は「東洋の神秘」 明珍家第53代当主・明珍宗敬さん

「一聞百見」 明珍宗敬
「10年を超えて多少自信がついた」と話す明珍宗敬さん=兵庫県姫路市(柿平博文撮影)
 つるされた一対の火箸(ひばし)が触れ合うたびに、心地よい澄んだ音色が響き渡る「明珍(みょうちん)火箸風鈴」。遠方の偶然入った店先でふと、この涼やかな音が聞こえると、ファンは全国にいるのだと気づかされる。製作を手掛けるのは、兵庫県姫路市に工房を構える明珍家。平安時代の甲冑師(かっちゅうし)の流れをくむ鍛冶職人の家系だが、今春、その長い歴史に新たな一ページが加わった。約30年ぶりの世代交代。第53代当主に就任した明珍宗敬(むねたか)さん(45)の心境を聞こうと、工房を訪ねた。(聞き手・姫路支局長 小林宏之)
30年ぶり世代交代
 世界文化遺産・姫路城から北に約1キロ。にぎやかな街の一角に明珍の工房がある。中をのぞくと、薄暗い作業場に赤紫の炎が燃え盛る炉。その中で紅色に輝くコークスの塊。炉の前に座る宗敬さんは、その炎から取り出した細い鋼(はがね)の棒を金床に載せ、金づちでリズミカルに鍛え続けた。「ふと気づけば、たたくリズムは先代と同じ。きっとここに、いい音を出す秘密が隠されているんでしょうね。私たちが継承しているのは、このリズムなのではないかと思うんです」
>>続きを読む

スポンサーサイト



202105/02

一服どうぞ】裏千家前家元・千玄室 心を「無」にするとは

 「狗子(くし)に還(かえ)って仏性(ぶっしょう)有りや、也(また)無しや」。狗(いぬ)の子にも仏性は有るのかと問う有名な禅の公案(こうあん)である。これに対し趙州(じょうしゅう)和尚は一言「無」、仏性などにとらわれていてはならないと。何も無いところから生まれ、「有」という目に見える型が形成されるが、それもいつまでもあるものではなくやがて「無」になる。全て無から始まり無に還る。これは非常に東洋的哲学である。
 では西洋的哲学はというと、私はアーネスト・ヘミングウェーの「清潔で明るい場所」と訳される短編小説を思い浮かべる。カフェで毎晩遅くまで決まった席で酒を傾ける老人がいる。何を語るでもなくただじっと座るその老人自体の姿の中に生きてきたものがあり、それもまた消えて無くなる、すなわちここでも無の概念が出てくる。
>>続きを読む

202012/03

【しずおか・このひと】「形変えずに」代々の思い受け継ぐ 郷土人形「静岡姉さま」5代目製作者、中平郁乃さん(56)

静岡姉さま製作者、中平郁乃さん
郷土玩具の紙人形「静岡姉さま」ただ一人の作り手、中平郁乃さん=令和2年11月25日、静岡市葵区(今村義丈撮影)
 「姉(あね)さま人形」という郷土玩具のジャンルをご存じだろうか。江戸時代、ままごと遊び用に作られた紙人形が始まりで昔の「リカちゃん」「バービー」といったところ。各地に独自の作風が伝わるなか、顔がなく、高い背の後ろ姿だけで“表情”を表すという粋で珍しい特徴なのが、天領の城下町だった静岡市の「静岡姉さま」だ。18日から静岡駅近くで展示が始まるのを前に、ただ一人の作り手である中平郁乃さん(56)に伝統の人形に込める思いを聞いた。
(今村義丈)
 --肩書に「5代目曽根」とありますが
 「曽祖母の曽根えい、祖母のしげ、伯母のせき、母の鈴木ます、私と引き継いできました。以前は複数の家で作って祭りなどで売られたそうですがいつの間にか曽根だけになり、3年前に正式に継いだあと母が昨年5月に亡くなって、作り手は私だけになってしまいました」
>>続きを読む

202010/22

コロナで沈む群馬名物・創作こけしの挽回策

クラウドファンディングでこけしの製作を再開を目指す
晃常こけし工房「こけしげ」の田中重巳代表
 おかっぱ頭に丸みを帯びた胴体、シンプルな造形に東洋美を宿したデザイン。こけし生産量日本一の群馬でひときわ輝きを放つ創作こけしは「卯三郎こけし」(榛東村)を筆頭に海外での評価も高くインバウンド(訪日外国人)向け土産としても人気が高かった。ところが新型コロナウイルス感染拡大の影響で注文は消え、休業が続く。先が見えない中、クラウドファンディングで、こけし作りを再開しようという工房も現れた。
 東北地方の伝統的こけしに対し、創作こけしは定型にとらわれない自由な形状が特徴で、牽引(けんいん)してきた卯三郎こけしは売り上げも順調で、浅草や京都など全国の観光地の販売店や問屋にこけしを卸していた。
 ところが今年3月、注文が途絶えた。コロナ禍の影響だ。4月には工場の稼働を止め、従業員20人は休業補償を受けて自宅待機に。欧州向け輸出は夏以降、若干持ち直したものの、店頭販売を含めても売り上げは例年の9割減状態が続く。
>>続きを読む
202008/17

【おいしい浮世絵 浮世絵】(下)安倍川餅 川渡りの腹ごしらえに

【おいしい浮世絵 浮世絵】(下)安倍川餅 川渡りの腹ごしらえに
「東海道五拾三次之内 府中 あべ川遠景」 歌川広重 浦上満氏蔵
 「府中 あべ川遠景」は、広重の代表作「東海道五拾三次之内」のうちの1枚。舞台は府中宿の西側(静岡市弥勒周辺)で、画面の左右いっぱいに街道の様子が描かれている。道に連なる木々を手前から目で追うと、だんだんと小さく描かれているのが見て取れる。
 当時日本は鎖国中だが、長崎の出島に入ってくる西洋画を江戸でも見ることができた。オランダの風景版画などを目にした絵師たちはその画風を取り入れ、ときに浮世絵にも活用した。広重もここで遠近法を用いながら、広々と開放的な風景を描き出している。
>>続きを読む
202003/28

【和食伝導 金沢から世界へ】異能の若手の器がつくる「景観」

【和食伝導 金沢から世界へ】異能の若手の器がつくる「景観」
飛び石をイメージしたseccaのお皿は借景の窓などと調和し、十月亭の空間を演出する(提供写真)
 和食におけるサステナビリティー(持続可能性)は、気候変動による自然環境の変化への対応や食材の保全にとどまりません。私は「人」が重要だと考えています。伝統を守りつつ、未来を切り拓(ひら)く「異能」の人材を発掘し取り込む気概が和食を後世に伝えるために必要だと感じています。

 特に、料理人の常識を覆すような若手の作品や発想からは刺激を受けます。

 たとえば、私が才能に惚(ほ)れこみ、器の制作を依頼している「secca(雪花)」という金沢市のクリエイター集団がいます。代表の上町達也さんや陶芸家兼デザイナーの柳井友一さんは伝統工芸の制作に最新の3Dプリンターを取り入れて、独特の美しい流線形を描く陶器を生み出しました。

>>続きを読む


202002/19

産経ニュース


「黒森歌舞伎」を奉納公演 山形・酒田

黒森歌舞伎 1番手
「黒森歌舞伎」で奉納公演された「義経千本桜」=15日、山形県酒田市黒森(柏崎幸三撮影)

 山形県酒田市黒森の黒森日枝神社で15日、県指定民俗文化財の「黒森歌舞伎」が上演された。江戸時代中期の享保年間から280年以上にわたり同神社に奉納されてきたと伝えられている農民歌舞伎。今年は平成22年以来となる本狂言「義経千本桜」が奉納され、観客から大きな拍手が送られていた。

 黒森歌舞伎は昨年11月、日本・ポーランド国交樹立百周年の記念ベントとして初の海外公演を行い好評を得た。海外公演に尽力したアダム・ミッキェヴィチ大学准教授のイガ・ルトコフスカさんもこの日訪れ、「日本の文化、地域の文化にはすばらしいものがあり、この黒森歌舞伎をポーランドで上演できたことはよかった」と話していた。

 黒森歌舞伎は17日も行われ、義経千本桜から「摂州渡海屋の場」「摂州大物浦の場」が演じられる。


202002/13

【動画】芸舞妓が衣装合わせ 京都「北野をどり」春公演へ準備

十字路 京都花街「北野をどり」衣装合わせ
京都花街「北野をどり」公演の写真撮影を前に衣装を合わせる芸舞妓ら=12日午前、京都市上京区の上七軒歌舞練場(永田直也撮影)

 京都花街の春公演のトップを切って上演される「北野をどり」(3月20日~4月2日)の衣装合わせが12日、京都市上京区の上七軒(かみしちけん)歌舞練場で行われた。

 舞踊劇は歌人、大伴旅人(おおとものたびと)が平和を願ってタイムスリップする奇想天外な物語。芸舞妓(げいまいこ)が総出演する恒例の「上七軒夜曲」でフィナーレを飾る。

 この日は、あでやかな衣装を身につけた芸舞妓が髪形などを念入りにチェックし、パンフレット用の撮影では、次々にポーズを決めていた。

>>続きを読む


202001/16

産経ニュース


古式泳法で寒中水泳 三重県津の海岸で 新成人を祝う

 「成人の日」の13日、三重県津市の無形文化財に指定されている古式泳法「観海流」による恒例の「寒中水泳大会」が同市の阿漕(あこぎ)浦海岸であった。ダウンジャケットを着ていても肌寒い中、観海流●(=さんずいに因)水(しゅうすい)会の会員ら24人が下帯や水着姿で見事な初泳ぎを披露。詰めかけた約150人の市民らが拍手を送っていた。

 観海流は江戸時代末期に外国の黒船などに対抗しようと生まれた日本泳法12流派の一つ。津などを治めた藤堂藩で武道として重んじられ、顔を出しながらの平泳ぎを基本に団体で長距離を泳ぐ。同会は毎年、心身の鍛錬とともに成人を祝う意味も込めて寒中水泳を披露している。

 この日午前11時の気温は11・3度、水温は10・5度。上杉初男理事長(68)らが初泳ぎの儀として塩や酒をまいて海の安全を祈願。立ち泳ぎをしながらの水書で令和の出展元の万葉集の梅花の歌32首の序文にちなんだ熟語「気淑風和」としたためた。

 県立津高水泳部員らも参加した古式沖渡りでは、「よーゆこーれ(誉勇講礼)」のかけ声に合わせて群泳した。
 初めて参加した最年少の同市立上野小6年の岡丈陽君(12)は「最初はめっちゃ冷たくて、息がしづらかったが、泳ぎ切れてよかった」と話していた。


202001/14

なぜ香川では「あん餅雑煮」を食べるのか 

参加者が作ったメニュー
講座で参加者が作ったあんもち雑煮。白みそ仕立てが伝統的なスタイル(手前右)=昨年12月、香川県宇多津町

 丸餅か角餅か、白みそ仕立てかすまし仕立てか、具材は-。郷土色にあふれ、地域や家庭によって異なる雑煮だが、今年の正月も、香川県で食卓に上ったのは「あん餅雑煮」。白みそ仕立ての汁にあんこ入りの丸餅、金時ニンジン、ダイコンなどが入った一品だ。信じられない組み合わせかもしれないが、「あん餅雑煮を食べないと新年を迎えた気分にならない」という香川県民は多い。

 「癖になる味」
 「あん餅雑煮は香川の郷土料理。県外の人には必ず『気持ち悪い』といわれるが、食べると癖になる味なんです」。昨年12月27日、香川短大(香川県宇多津町)で開かれた親子向けの料理教室。講師を務めた、生活文化学科食物栄養専攻の松永美恵子教授は、参加者にこう語りかけた。

>>続きを読む